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すべての人に良い人生を「悩みどころと逃げどころ」

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学校教育のありかたや、いい人生とは? といったちょっと堅めの話を、おちゃらけ社会派ブロガー*1のちきりんさんと、世界一のプロ格闘ゲーマー梅原大吾さん(ウメハラ)という、異色のコンビで議論する対談本です。

私はウメハラさんのことはほとんどちきりんさんのブログを通してしか知らなかったので、無口で難しそうな人というイメージがあったのですが、ところどころ掛け合い漫才みたいな箇所もあって、何度も吹き出してしまいました。
対談本を読んだのはこれが初めてなんですが、テンポが良く、話の内容も面白くて、サクサク読めてしまいました。
最後まで楽しく読めたし、自分の今後の人生を考える良いきっかけをもらいました。

私はちきりんさんのファンですが、どちらのファンでもない人の感想が聞きたいところです。

この本は是非、これから働く人にも、今現在働き方に悩んでいる人にも読んで欲しいです。参考になるかもしれないし、仮にならなくても、こんな生き方、考え方もあるのかと、人生の幅が広がると思います。

で、面白すぎて先にどんどん進んでしまい、もっと反芻して、「自分だったらどうなんだろう」と考える時間がありませんでした。

まとまった時間があれば2日で読み終えるような分量なので、もう一回読んでみました。
今度は自分なりの解釈や考えをまとめたので、いくつか個人的に思ったことをメモします。

結果とプロセス

この本では、「結果」と「プロセス」についての話が何度か出てきますが、ちきりんさんは「結果が大事」、ウメハラさんは「プロセスが大事」と説きます。

ちきりん「競争って結果がすべてだから、勝てなかったら意味がない。」
ウメハラ「本当に大事なのは結果に至るプロセスなんですよ。」
一部抜粋

一見、意見が食い違っているように見えますが、実は深掘りするとそうではないのです。

別の章でウメハラさんは、

ウメハラ「今回トライしたプレーが、今後の高い勝率につながると思える動きだったなら、たとえその対戦で負けてても、プロとして結果を出したと思えるし。」

と持論を展開します。

これは、ちきりんさんが、著書「マーケット感覚を身につけよう」の中で、「「失敗」は「成功」に不可欠なステップ」と仰っているのと通ずるものがあります。
1回のプレーでは確かに勝利という結果は出せなかった、失敗だったかもしれないが、ウメハラさんにとっての成功は、ただ1度の勝利ではなく、勝ち続けること。失敗を次に繋げることが出来るのであれば、それは成功へのプロセスになる。

それに対しちきりんさんも、

ちきりん「勝負の世界にいる人が「プロとして結果を出す」という言葉の意味を、そんなふうに定義してるんだと理解できたのは、今回ほんとに大きな学びです。」

と返しています。目指す地点によって、「結果」の意味合いが変わってくるんだなと思いました。

さらに見方を変えて、「市場が何を評価するか」という話になると、

ちきりん「ウメハラさんが調子悪い時に連戦連勝の人がいても、その人が「ウメハラより上」とはみんな思わないでしょ?」
ちきりん「そういうのだって、その時期ウメハラさんより勝ってる人から見れば不公平に見えると思うんです。でも仕方ない。それがマーケットの評価なんですよ。」
一部抜粋

と、実は結果が全てではないということを肯定し、ウメハラさんにそれを指摘されるシーンも。

「マーケットの評価」という視点からすれば、目の前の一勝は「全て」ではなく、評価の一要因にすぎないということなんですね。

この辺は教育論と関係なさそうに見えて、実は、学校で教えてくれるわかりやすい指標(テストの点数、勝率)では、世間、市場からの評価は得られない、といった話の中の一部になっています。

大事なのはまっすぐに戦うこと。

ウメハラ「大事なのはまっすぐに戦うこと。それで勝てればもちろん素晴らしいけど、負けてもいいんです。戦い方において自分に恥じることがなければ、負けても堂々としてればいい。たとえ負けても、その戦いによって、自分がどれだけの者として生まれてきたのか、自分の立ち位置や、自分のやってきたことの価値がわかるんですから。」

「大事なのはまっすぐに戦うこと。」
このセリフで、福本伸行先生(アカギ、カイジの作者)の、「銀と金」という作品を思い出しました。
競馬で300億のギャンブル(敵と味方で半数に分かれての総力戦)をすることになった平井銀二が、自陣に名騎手岡部を引き入れようと、騎乗を依頼するシーン。
ここで、岡部は敵陣と自陣とのあまりの戦力差を前に、敗色が濃厚だから勝負を降りろと進言します。
対して平井は、

平井
「……金は失っても
またどこかから取り戻せるでしょう

が……

一度失った 私自身の信用……
曲げた行為をしたという事実は
もう取り戻せません……


 そして、「負けるとわかっていても闘わなければいけないときがある」と。

岡部
「バカな……!

これはまた
裏社会で数々の修羅場をくぐってこられた
平井さんとは思われぬ言葉……!

闘う以上
勝たねばならぬ…が
当然で……
それが勝負というものでしょう」

平井
「そのとおりです 私も周りにはそう言います
勝て…と…… 勝つことでしか未来は開かれない
勝て…

中略

本当の本当 本心では
そんなふうに私は 考えていない……

真に肝心なことは どのように闘い……
どのように勝ったか……?
あるいは敗れたか……?
その過程が重要」
一部抜粋

福本節が存分に炸裂する名場面です。結果とプロセスについて、ちきりんさんとウメハラさんが議論する場面と被って、ほんとに面白いんですよね。

社会的な評価は必要か?

お二人とも、社会的な評価はゴールではない、と言い切ります。あったら励みになるけどゴールにはならないと。

ちきりん「私のブログは今でこそ人気があるけど、最初の3~4年は読者はごくわずか。それでも、毎日嬉々として書いてたわけですよ。本当にやりたいこと、好きなことって、他者に認められなくても気にならない。もちろん認められたら嬉しいんですよ。だけど、なくても困らない、なぜならそれがゴールなわけじゃないから。」


ウメハラ「確かに社会的な評価がゴールだったら、高い評価を得た時点で人生の目標が達成されて、終わっちゃいますよね。「ウメハラ・ナンバーワン」って評価がゴールで、達成後は偉そうにして暮らすだけになったら全然おもしろくない。」

 確かにそのとおりだと思うんです。
ただ、ここは私なりに補足したいと思っていて、ややもすると、自分が好きなことをやるのが一番で、他人や社会からの評価なんて重要ではないと思ってしまいそう。
社会からの評価を最終目標にしちゃうと、自分の人生を自分で肯定できなくなってしまうけど、上手く利用すれば、やりたいことをさらに実現できるのかなーと思いました。

ちきりんさんの場合は、

思考し、それを言語化する
※人の評価は気にならない

ブログのPVが増える
※社会的な評価(中)

本を出す機会が増える
※社会的な評価(大)

対談、取材、商品開発のコラボなどが出来るようになる
※社会的な評価がないと出来ないこと

ちょっと語弊があるかもしれませんが、こういった企画のうちいくつかは、「PV数がトップクラスだから」、「書籍が売れてる方だから」、ということで実現したものもあると思うんです。

ウメハラさんの場合は、

格ゲーで世界最強になる

勝ち続けることで評価が上がる

本を出す機会が増える
※社会的な評価(大)

大学の講演なんかも依頼される
※社会的な評価(大)

格ゲー業界が盛り上がる
※社会的な評価がないと出来ないこと

業界の盛り上がりとは、世間の認知度が上がり、格ゲーのファンが増え、プロ格闘ゲーマーが増え、賞金額も上がり、全体のレベルも向上する、ということです。

これは、単に好きな格ゲーで連戦連勝、というだけでは実現できない。その結果得られる社会的評価がないと、業界全体に対する好影響までは期待できないと思うんです。

だから、「本質的には、社会的な評価より、好きなことに打ち込めることが大事」、なんだけど、社会的な評価をあまりおざなりにしてしまうと、さらに面白いことが実現できなくなってしまうのかも、とも思いました。

すべての人に良い人生を

生きていくための力、稼ぐ力を、

  • 大企業に入って高い給料をもらう
  • 市場から直接稼ぐ

というふうに分けると、お二人とも後者です。
大半の人は前者を目指すので、一見、筆者たちは特殊な例だから自分には関係ないと思いがちですが、実はそうでもないんです。

その大企業が倒産、またはリストラされる、単身赴任等で退職せざるを得ない、他にも、親の介護や病気や怪我、何らかの原因で通勤ができない、といったことになる可能性は決して無視できません。
そういう時のために、誰もが後者を選択できる、そのための試行錯誤をしておくことが必要だと感じます。

でもそのためには自分がやりたいことがわかっていることが前提です。自分の好きなことでないと、今までと大きく違うやり方で頑張れないから。

その好きなこと、やりたいことを見つけるまでのあがきのプロセスを、お二人が実体験を元に語っているのが本書です。
彼らほどの才能、または学歴、実績があっても、これだけ試行錯誤し、あがくものなのだ、ということが、本書を読めば実感できるはずです。

本来、すべての人が、自分の人生についてもっといろんな可能性を考え、具体的にイメージし、ほんの一歩でもいいから行動してみる。そういったことが必要なんだと思うんです。
結果が良くなくても、それで諦めてしまっても悪くない。自分自身の人生について、きちんと悩んだ、という経験が大事なんだということが、この対談で分かりました。

それはすべての人にできることだし、すべての人の人生を、ちょっとだけでも良くすることだと信じます。

 

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*1:本書では社会派ブロガーとなっていますが、私の中では今でも「おちゃらけ社会派ブロガー」という肩書が気に入っているので。。。