大野愛果/Shadows of Dreams
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大野愛果というミュージシャンと、そのファーストアルバムについてのレビューです。
あまりメジャーではないかもしれませんが、私の好きなミュージシャンの一人です。
去年のクリスマスに、11年ぶり3枚目のアルバムを出しました。非常に寡作に見えますが、基本的に他者への曲の提供を行っていて、自身のアルバムではそれらをセルフ・カヴァーするというスタイルなんですね。
そんな大野愛果のファーストアルバム、「Shadows of Dreams」。これはもう、珠玉の1枚です。
このアルバムの曲は、倉木麻衣への提供曲が半分くらいを占めています。
発売は2002/01/17(あれから12年経つのか……)。当時は倉木麻衣がデビューして2年が経ち、アルバムを2枚、タイアップも何曲も出てきて、人気が定着していた頃でした。
恐らくこのアルバムも、その流れで倉木麻衣のファンが購入したであろう(私のことです)と思われます。
他者へ提供した曲を、全曲英語にし、アレンジを大幅に変えてのセルフ・カバーです。
通常、アレンジを変えたカバーなんてロクでもないことになるのですが、このアルバムでは、独特な世界観を作り出すことに見事に成功しています。オリジナルとは違った別の良さを表現しているのです。
これは、大野愛果の声質に合わせた、切なさを強調したアレンジにしたからだと思います。アレンジだけでなく、演奏、歌、コーラス、訳詞、そのどれもが、とても完成度の高い、質の高いアルバムになっています。
以下、曲の簡単な感想を。
01.Love, Day After Tomorrow
1曲目にこの曲を持ってくるあたり、ちゃんと解ってる。倉木麻衣の日本でのデビュー曲。大野愛果ワールド全開。
02.This is your life
イントロがとても美しい。この部分を聴いただけで、小雨に濡れる深い森の中の情景を思い起こさせる。まさにアルバムのジャケット写真のイメージ。
少女のような幼さを感じさせる声と、泣きそうな表現がとてもいい。
このアルバムで一番好きな曲。文句なしの名曲。
03.Shadows of Dreams
イントロから、カウベルや小川の流れるエフェクトがかかり、雨の日の濡れた牧場を思わせる。しっとりとした序盤から、日差しが出てくるかのような、希望を感じさせる心象世界へ。美しい曲。
04.always
原曲は倉木麻衣バージョンに比べてアップテンポに、スピード感溢れる仕上がりに。
コーラスには倉木麻衣が参加。二人の歌声がとても合う。
終盤の合唱は圧巻。
05.happy days
前半の少し物哀しい、切ない感じから、後半の、何かに立ち向かうような力強さへと展開していく。比較的原曲に近いアレンジ。
06.Secret of my heart
時に囁くように、時にソウルフルに歌い上げる。感情豊かな曲。
07.Delicious Way
倉木麻衣のファーストアルバムの1曲目と同名の曲。
ユニークなアレンジと、包み込むようなコーラスがいい。
08.Blue Umbrella
映画のエンディングで使われそうな、壮大なバラード。
ボーカルにエフェクトがかかっていて、それが独特な世界観を作り出している。これもとっても好きな曲。
とは言え、エフェクト無しバージョンもあったらな、と思わされる。大野愛果のボーカリストとしての表現力を、ストレートに出したバージョンも聴きたい。
09.I'm crazy for you
オリジナルは愛内里菜の「It's crazy for you」。スピード感溢れるアップテンポなナンバー。
大野愛果は繊細な声が持ち味だが、この曲ではバックミュージックに負けない力強さを出している。
10.Land of Sunshine
アコースティック・ギターとピアノを中心とした、優しくて綺麗な曲。
とても美しいギターの旋律。丁寧でしっとりとしたボーカル。コーラスも超綺麗。シンプルなアレンジ。名曲です。
11.Stay by my side
ユーロビートなアレンジが気に入らない。なんでこの曲だけこんな出来の悪い頭文字Dみたいになっちゃってるの。
是非、倉木麻衣オリジナルのアレンジで聴いてみたかった。オリジナルは名曲。
12.Fair Play
あちこちで子供たちがはしゃいでいるような、賑やかで可愛くて楽しい曲。
イタズラっ子っぽい歌い方もいい。
13.fall apart again
切なさ、物哀しさの中に希望を感じさせる曲。
一見華奢に思われる中に、くじけない力強さを感じさせる歌声が実に叙情的。
最近久しぶりにアルバムを聴いてみて、改めて感動した次第。10年以上経っても全く色褪せていません。
どの曲も英語の詩がうまく乗っていて、曲ごとに見事に世界観を作り出しています。
英語の発音もとても丁寧で、綺麗。これだけの表現力のある方が、自身ではあまり歌わないというのは非常にもったいない。
オリジナル楽曲の提供先は皆、有名どころのミュージシャンですが、元の曲を誰が歌っていたかなんて全く知らなくても、存分に楽しめるはず。
完成度高し。文句なしの名盤です。
- アーティスト: 大野愛果,Being Staff,Mai Kuraki,Mizuki Akimoto,Deron Reynolds,Azuki Nana,Rina Aiuchi,Izumi Sakai,Maki Ohguro,Aika,Gomi
- 出版社/メーカー: GIZA studio
- 発売日: 2002/01/17
- メディア: CD
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