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電通の事件から学ぶこと。逃げ方を考えよう。

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電通の事件に関して、前回のエントリでは、会社を責めても社員の助けにはならないから、逃げるための方法論を論じよう、と提案しました。

電通の事件から学ぶこと。社員も会社も責めてる場合か! - koji-xの小部屋

今回はその具体案を探ってみます。

逃げる準備を整えておく

私を含め、大勢の方が、逃げることの重要性を説いています。「死ぬくらいなら辞めればよかった」はその典型的なワードです。が、それが簡単には出来ないから苦しんでいる人がいるのです。
ならば、どんな状況になったら辞めるべきか、そのためにはどんな準備を必要か、冷静な判断ができるうちに検討し、準備を終えておく必要があります。

そもそも、いつでも辞められる準備をしておけば、精神的な負担が軽減されるものです。

社会保険について調べておく

まずは失業手当です。働いていたときの6割程度のお金がもらえる大事な制度ですので、金額やもらえる期間について、予め調べておきましょう。
ちなみに自己都合で退職した場合、失業手当を受けられるのは3ヶ月を過ぎてからですが、いくつかの条件を満たせば、たとえ退職時に会社に提出する書類に、自己都合欄に判を押したとしても、ハローワークにて会社都合にしてもらえる場合があります。私は直近3ヶ月の残業時間を印刷したものを提出し、会社都合にしてもらいました。これなら2週間ほど待てば給付されますので、ありがたかったです。

半年分の生活費を貯金する

次の職場が決まるまで、3ヶ月の失業保険とさらに半年分の生活費があれば、余裕を持って転職活動に望めるはず。「いつでも辞められる」という確固たる安心感を得るために、頑張って貯金しましょう。
もちろんこれは、病気や怪我で入院したときにも有用な手段です。これによって無駄な医療保険に入る必要がなくなりますので、その意味でもおススメです。

退職届を書いておく

時間も気力もなくなっている時に、退職届なんていう普段書き慣れないものを書くのはしんどいはず。面倒でもネットで調べて、文面をちょこっと手直しして、印刷して、封筒に入れておきましょう。日付を入れればすぐ出せるように。

退職理由を考えておく

大企業を辞めたり、短期間で辞めたりしたら、次の企業の面接でその理由を聞かれることもあるでしょう。それを考えると退職に踏み切れない、とお考えなら、今のうちに考えておきましょう。こんなのはいくらでもでっち上げていいです。
または、100時間残業が続いたことをそのまま伝えてもいいし、上司に受けたパワハラの具体例を伝えてもいい。それで断られたら、そんな会社に入らなくて済んでラッキー、ということです。

逃げる条件を決めておく

仕事がきつい、けど我慢すべきだろうか、逃げるべきだろうか、と悩んだとき。まず冷静でいられるうちに、これは我慢できないということをリストアップします。
例えば、

  • セクハラだのパワハラだのを食らう。
  • 残業時間が50時間を超える(好きな仕事なら別)。
  • 有給、代休が取れない。
  • 無理な転勤を命じられる。
  • 子供が熱出してるのに早退を認められない。

で、ふと気がつけば仕事が辛い、気力が萎えてる、となったとき。このリストを見返して、あのとき、これは我慢できないと思ったことに何項目も当てはまってる!となれば、辞めどきを判断できるのではないでしょうか。

これらの準備で持って、心に余裕を持ちましょう。そして準備を終えたら、通常の業務の中でもやるべきことがあります。

異常な環境であることに気づく

まずは、自分が置かれている状況が異常であることに気づくことです。

私も、時に200時間を超える残業(残業代なし)のあるブラック零細企業で5年間働いたことがあるので分かるのですが、本人には「逃げる」という選択肢が何故か上がってこないんですよね。周りからも「辞めた方がいい」とか、「ゆでガエル状態だ」とか言われてたけど、次の仕事が見つからなかったらどうしようとか思ってしまう。

残業、パワハラなど、きつい環境が続くと、精神的に追い詰められ、冷静な判断ができなくなります。自分が今、冷静な状態か、常にチェックしましょう。
先程の逃げる条件リストを時々は見返し、内容を吟味し直しましょう。

周囲の人の話を聞いて、視野を広げる

新人の頃は他の会社のことを知らないため、現状が普通だと思ってしまうことも多いものです。そこで、他社の人の話を聞いて、視野を広げることが大事です。

先程の逃げる条件リストを、友人、知人に見せて、当てはまるものがあるか聞いてみましょう。周りがそうでないなら、当たり前だと思っていた自社の労働環境が、異常なものであることを客観的に受け止められるはず。
学生時代の知り合いと飲みに行く機会を作って、お互いの状況を交換し合うのもいいですね。

友人の会社のほうがもっとブラックだったら、そんな会社おかしいよ、と言ってあげましょう。

自力で逃げる覚悟を決める

過労の末、自殺するような痛ましい事件が起こってもなお、現在の働き方を見直せない人が大勢います。会社側、労働者側、共にです。結局は他人事なんです。

人は変わりません。他人がどうなったとしても、それで学習したりしません。自分が痛い目に遭って初めて、自分の事として学べるのです。
ですから周囲の環境が変わるのを期待するのは止め、自分の力で逃げる準備をし、決断し、実行するしかないんです。

周りから色々言われるかもしれないし、自分でも「やっぱまだ頑張れるんじゃないか」とか「同僚に負担をかけてしまう」とか、変な倫理観が邪魔するかもしれませんが、捨てましょう、それ。よく、責任感が強い人とか、真面目な人が鬱になるといいますよね。

もっと言えば、その状態は思考停止しています。倫理的に良くないから、と言ってそれを免罪符にして我慢する。それは、自分の人生を軽く見ているということです。そんなこと許されません。自分の人生と向きあって、必死になって倫理観と戦い、逃げを選ぶ、その覚悟を決めるんです。

横道に逸れますが、ともすれば、残業自慢を(時に自虐的に)する人も多いのですが、私はそういう人を軽蔑します。
残業時間を自慢気に話している人は、自分がいかに生産性というものを分かっていないか、大声で吹聴しているようなもので、程度の低さを恥ずかしく思うべきです。
その残業をどうやって少なくするかを考えべきなんです。まあそんな人、社会人になってからこの方15年、見たことがありませんが。

残業代が出ないなんてのはもってのほかで、これはもう完全に違法行為です。企業で働くというのは、その企業の利益にのために働くということでもありますから、違法行為に手を貸すようなものです。
周りの人から同情されると踏んで、これも自慢話として言う方がいらっしゃいますが、見方を変えれば、犯罪の共犯ということになります。
厳しい意見になるかもしれませんが、社会人である以上、生活があるから、事情があるからしょうがない、では済まされないはず。危機感を持ちましょう。自戒を込めて。

恐らく、今電通の社員であることを誇らしげに語れる社員は少ないはずです。
自分は、社員を死に追い込むような超ブラックな企業で働いています、その企業の存続に手を貸しています、と言っているようなものですから。

大企業に入れちゃった場合

私は経験がないのでアレですが、せっかく入れた一流企業を一年で辞めるなんて、とても出来る決断ではない、のでしょう。
人によっては、今より小さな会社に移って、惨めに感じないだろうか、なんて心配をするかもしれません。

ですがよく考えてください。今を頑張れば、その会社で幸せになれる保証があるのか。
順当にスキルアップして、キャリアを積んで、出世できて、やりたい仕事ができて、収入もガンガン上がって、周りからも尊敬される、羨ましがられる。

それを実現する具体的なプランが立っていますか?周りがそうなってるし、自分も多分そうなるだろう、というレベルではありませんか?
それより、電通のあの社員のようになってしまわないか、そっちを心配するほうが先です。

働いてスキルや経験や人脈を作るのは、他所でも出来ます。その上で同レベルの企業に転職できないのだとしたら、今の企業に入ったのが無理筋だったということです。

怒りを持つべし

自分が今、異常な環境に置かれている、ヤバイ状況である。しかし逃げるための準備は既に終えてある!
それでも、日々の激務や精神的な疲弊により、行動に出られないこともあるでしょう。

そこで有効なのが、「怒り」の感情です。これは精神論ではなく、怒りには人にエネルギーを与え、行動させる力があるのです。利用しない手はありません。

こちらに、怒りに対する重要な考察が掲載されています。

“イライラ”は、「ウツ」が悪化している兆候なのか? ――「うつ」にまつわる誤解 その(8)|男の健康|ダイヤモンド・オンライン

 本来「怒り」は、ネガティブというレッテルで差別されるべきものではありません。

 不当なもの、理不尽なもの、愛のないもの、侵害的なもの等に対して自然に「心」から生み出されてくる感情が「怒り」なのであり、人類の歴史を見ても、革新的な試みは常に、旧態依然としたものへの「怒り」が基になって成し遂げられてきました。「怒り」は、閉塞的状況を打開する創造的エネルギーの発露でもあるのです。

また、小寺信良さんというAudioVisual系ライターの方の、長時間労働に対する情感溢れる文章をご紹介します。

日本にサマータイムは有効か (1/3) - ITmedia LifeStyle

 筆者がそんな会社を辞めようと思ったきっかけは、ある日、赤坂溜池のあたりで、赤坂プリンスの向こう側に沈みゆく夕日を見てしまったからである。その日は編集室の改装工事が入っており、いつもよりも早く、というか普通の時間に帰ることになったのだ。

 水面に反射する落陽の光に包まれながら、家路へと急ぐ人の群れに混じって歩いていると、ふと父のことが思い出された。筆者の記憶の中では、大人も子供も、夕焼けの黄金色の光の中で、家に帰るというのが常識だったはずなのである。

 普通は今頃帰るんだよな、という思いと、このままこの仕事を続けている限りこんな時間には帰れるはずがないな、という思いが交錯し、「こんな生活は人間らしいとは言えないんじゃないか」という怒りにも似た感情がこみ上げてきた。

小寺さんはこの怒りを通して、フリーの道を進むことになります。

社会人ともなれば、安易に怒りを発露するのは控えるべきなのは論を待ちません。が、本当に守らなければならないものが踏みにじられたとき、怒りを正当な感情として、制御して利用すればよいのです。

自分の人生が今、破壊されている。自分という人間を、軽んじられている。自分が大事にしているものも全て、踏みにじられている!何様のつもりだ!
理不尽なことに対して、怒りを持つべし!

生産性を上げる

ここまでは逃げる準備、実行への移し方でしたが、逃げた先でも結局は働かないといけない。働き続ける上では、生産性を向上させることが大変重要になってきます。

より効率的に、より短時間で作業を終わらせることができるように、常に生産性の向上を念頭に挙げながら業務に当たるようにします。
急いで仕事をするのではなく、どうやったら急がなくても短時間で仕事を終えられるかを考えるのです。

これがどれだけ大事なことかは、以下の記事が参考になります。

世界を読み解くニュース・サロン:日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識” (3/5) - ITmedia ビジネスオンライン

「(日本の)超過労働は経済にあまり恩恵をもたらしていない。なぜなら、要領の悪い労働文化と、進まないテクノロジー利用のおかげもあって、日本は富裕国からなるOECD経済協力開発機構)諸国の中でも、最も生産性の悪い経済のひとつであり、日本が1時間で生み出すGDPはたったの39ドルで、米国は62ドルである。つまり、労働者が燃え尽きたり、時に過労死するのは、悲劇であるのと同時に無意味なのだ」

例えばIT系の開発の仕事で、プログラミングをするとき、一般的なコーディング規約(検索するといろいろ出てきます)に則って進めると、スキルや経験の少ない新人でも、一定の品質を保つことが出来ます。バグが減ればその分デバッグにかかる時間も減りますし、見やすいコードを書くことでデバッグ効率の向上や、仕様の変更に対応しやすくなります。

また、お若い方の中には自宅でPCを使っていない、持っていない方も増えてきましたが、業務で使うPCの操作に慣れておく、特に有用なショートカットを覚えると、作業効率がかなり上がります。
学習コストに比べてパフォーマンス向上の比率が高く、大変オトクですので、少しづつでも覚えていくといいでしょう。

こうやって生産性が上がれば、単純に残業時間が減らせ、自分の時間を取り戻すことが出来ます。
そして何より、どの職場でもやっていけるという自信がついていきます。
自分に対する投資だと思って、時間を作って試してみてください。

ただ、生産性とは、こうした工夫や試行錯誤を何年も続けて上げていくものなので、すぐに効果を出すことは難しいのです。

そもそも、生産性が低いとしても、それで死に追いやられてしまうということは、あってはならないことです。自分は生産性が低いから、残業が多くなってしまうのは仕方ない、なんて思わないでください。

若い方は特に無理が利いちゃうもんだし、アホな先輩や上司からも、若いうちは死ぬ気で働けとか言われてそうで、危なっかしく感じます。自分の置かれている環境が異常でないか、常に注意してください。

まとめ

ものすごく長くなってしまいましたが、逃げるための具体的な準備、心がけについて、自分が考えられることを書きました。アフェリエイト目的のブログで何でこんなこと書かなきゃならないんだ。

今の現場では、電通の件もあるので稼働を減らすように、という通達が出ています。おそらく数ヶ月もすれば、そんなものはなくなってしまうことでしょう。
自分の命や、家族の生活は、結局は自分が守らなければならないのです。

いつでも今回の電通社員のことを思い返し、人は仕事が原因で自ら命を絶つことがあるんだという事実を、忘れないようにしましょう。

15年前の自分に、なんとでもなるから、さっさと辞めろと言ってやりたかった。
仕事が辛いとか、甘ったれたこと言ってる暇があるなら、仕事を辞めるために頭を使えと叱ってやりたかった。
今回のエントリには、そんな思いもちょこっとだけあります。

出来ることはあるはず。

電通は、なんなら3.11と同じように、その日になったら黙祷を捧げるべき。それで余計時間取られて残業が増えて……。